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乾燥用途

乾燥用途

乾燥用に利用されるヒートポンプとしては、120℃までの熱風が出せる熱風ヒートポンプや、90℃までの温水が供給できる高温水ヒートポンプが多く用いられており、高温水ヒートポンプは加熱温度帯ごとに多くのラインアップが商品化されています。

食品乾燥、ラミネート乾燥などに多くの適用事例があります。100℃以上の事例もありますが、その場合はある程度の温度までヒートポンプで昇温し、それ以上の加熱は他熱源で対応するハイブリッド加熱となるケースが多くなります。これは、ヒートポンプをよりエネルギー効率の高い範囲で運転することで、システム全体として省エネ性を高める工夫です。

代表例として、塗装乾燥用途の設計ポイントについて紹介します。

 

主な洗浄、給湯、殺菌用途   ヒートポンプが適用されている
塗装工程

◎CIP洗浄

◎食品製造装置の洗浄・殺菌

◎飲料製造装置の洗浄・殺菌

◎自動車部品洗浄(ブレーキディスク)

◎純水、超純水の加温

◎調理器具洗浄、調理用温水

 

◎表面処理(脱脂、湯洗、化成等)

◎スプレー塗装(塗装ブース空調)

◎塗装乾燥(強制乾燥)

◎電着塗装(電着槽冷却)

◎焼付塗装(フラッシュオフ工程)

 

 

塗装乾燥とヒートポンプの適用方法

塗装ラインには多くのヒートポンプが適用されていますが、このうち塗装乾燥工程では、乾燥温度が40~80℃と比較的低い強制乾燥にヒートポンプの活用が期待されています。

乾燥は大きく分けると塗料を希釈する水や溶剤を長時間かけて蒸発させる自然乾燥と、塗料を150℃前後の高温で重合させ短時間で硬化させる焼付け塗装がありますが、樹脂系塗料では中間的な温度帯で塗料の乾燥を促進させる強制乾燥が用いられており、乾燥温度は多くの場合40~80℃と、ヒートポンプの適用が可能となっています。

現在市販されているヒートポンプ温水出口温度の上限は、空調用で55℃、温水用で60~75℃、高温水用で80~90℃となっており、乾燥温度に応じたヒートポンプを採用することができます。強制乾燥炉の用途としては家具・楽器等の木工製品、樹脂製品、自動車下塗り塗装、航空機・列車・建機の塗装等があります。

 

 

強制乾燥への適用事例

強制乾燥炉へのヒートポンプ採用事例として、板金塗装ラインに設置された乾燥炉(乾燥温度70℃)を例に説明します。

強制乾燥炉は温風を循環させますが、炉内の溶剤の濃度を一定以下に保つように外気を取り入れて換気します。乾燥炉からの還気(RA)と外気(OA)とを混合し、温水・空気熱交換器で昇温して乾燥炉に給気(SA)します。乾燥炉から一部空気

を排気(EA)するため、循環風量SA=RA+OAであり、還気風量RA=SA-EAとなります。

温水熱交換器(HEX)では乾燥炉の加熱負荷分の昇温をしますが、上記エアフローとすることにより、熱交換器手前の空気温度を下げることができ、温水との温度差を確保することができるため、熱交換器を最小容量に選定することができます。

乾燥炉の加熱負荷には立上げ負荷と乾燥時の負荷があります。立上げ負荷は、乾燥炉の筐体、床、乾燥炉内の空気を昇温させる負荷で、炉内を乾燥温度まで昇温する際に発生します。乾燥時の負荷には、炉体・ダクトの放熱、対象ワーク・パレット・台車等の昇温、換気負荷等があります。一般に乾燥時の負荷より立上げ負荷が大きくなりますが、ヒートポンプは無人運転やタイマー運転が可能であるため、立上げ時間を通常よりやや長い時間に設定することにより、乾燥時の負荷とのバランスを取ることができます。

 導入に当たっては、給水の水質を事前に測定し、日本冷凍空調工業会が定めた冷凍空調用水質ガイドライン(JRA GL-02-1994)に準拠し、温水温度によって低位中温水系(20℃を超え60℃以下)、または高位中温水系(60℃を超え90℃以下)の補給水の水質を満足することを確認するとともにメーカーと十分に調整を行います。また、運用にあたっては同ガイドラインの循環水の水質基準を参考に、定期的なブローや水質調整薬剤の使用を検討することも重要です。