原理と特徴
産業用ヒートポンプとは
ヒートポンプの原理
YouTube動画(JEHC公式YouTubeチャンネル)
エレクトロヒート と ものづくり Part3 ~ヒートポンプ編~
「Part1 ~プロローグ編~」「Part2 ~電気加熱編~」はこちらから
詳しくは、
日本エレクトロヒートセンターWEBサイト「ヒートポンプの原理」
ヒートポンプの適用領域
産業分野に用いられるヒートポンプは、マイナス数十℃から100℃以上まで、幅広い温度域への適用が可能であり、様々な業種において空調用、プロセス冷却、加温・乾燥等といった幅広い工程に導入することができます。電気加熱同様に、ヒートポンプも様々な業種の“生産工程”に組み込むことが可能です。
ヒートポンプの適用領域(加熱、冷却含む)
産業用ヒートポンプの特徴(廃熱活用(排熱活用))
産業に使われているヒートポンプは、加熱・冷却といった家庭用エアコンと同じような特徴の他に、廃熱の温度を回復させる熱の再生、リサイクルが可能なことがあげられます。この廃熱回収機能はヒートポンプのみが有している機能で、この機能を利用することで、工場にある廃熱を再利用し、工場の投入エネルギーを大幅に減らす省エネが可能となります。
ここでは、広く普及している冷却・冷凍ではなく、加熱機能を利用するヒートポンプを「産業用ヒートポンプ」と表します。
近年の産業用ヒートポンプの開発は目覚ましく、温水利用だけでなく蒸気代替としても適用温度範囲が拡大しています。
ただし、産業用ヒートポンプの導入には、事前調査・検討・エンジニアリングが必要であり、重要な検討項目になります。そのため、利用する生産工程がどの温度帯であるか、利用方式として温水なのか蒸気などについても機種選定の重要なファクターとなります。
廃熱利用のイメージ |
産業用ヒートポンプの高温化 |
産業用ヒートポンプの加熱用途
産業用ヒートポンプの加熱用途は、高温度への適用領域の拡大と様々な方式(高温水、熱風、蒸気、蒸気圧縮式)が開発され、様々な業種の加熱用途で利用されています。
ヒートポンプの適用領域(加熱用途)
産業用ヒートポンプの加熱利用例
産業用ヒートポンプは空気、排気、排温水、河川水、地中熱など、様々な熱源を利用することができます。また、用途についても給湯、加熱、乾燥などの様々な温度帯で使用できますが、ここでは普及例が多い生産プロセスの利用を中心に紹介します。
a.廃熱(排熱)回収利用
生産工程で排出される排温水や排気、コンプレッサやチラーの冷却後の冷却水など、普段捨てている低温排熱を回収して、再度高温に変換したのち、加熱に利用する形態です。 |
b.冷温同時利用
食品工場など工場内で冷熱と温熱を両方同時に利用している場合などは、従来チラーで冷却していた冷水を、加熱用ヒートポンプの熱源とすることで、一つのヒートポンプで冷熱と温熱を同時供給することが可能となります。 |
c.空気熱源利用
空気熱源ヒートポンプの場合、熱源の制約がなく、設置場所の自由度が大きいため、加温槽の隣など、加熱場所と近接した利用が可能です。 また、屋内に設置した場合はヒートポンプから発生する冷風で快適性も向上します。 |
主な適用事例
a.コンプレッサーの排熱回収利用<図1>
従来冷却塔で捨てていたコンプレッサーの冷却水に含まれる低温排熱を回収し洗浄工程の加温(約60℃)に利用できます。ボイラーでの加温と比較して、約4割ものコストを削減可能です。
<図1>コンプレッサーの排熱回収利用
出典:事例集『ものづくりに電気vol.5』 浅間技研工業殿
b.水熱源エコキュートによる冷温同時利用<図2>
従来はボイラーで温水を、チラーで冷水を製造していましたが、水熱源エコキュートの導入により、温水と冷水を同時に製造することが可能となり、従来比7割以上の一次エネルギーを削減できます。
<図2>水熱源エコキュートによる冷温同時利用
出典:事例集『ものづくりに電気vol.3』 北陸メイト―乳業殿 白山工場
C.空気熱源HPによる薬液槽加温<図3>
金属部品の表面処理工程の薬液槽加温(50℃〜55℃)に空気熱源ヒートポンプを採用。蒸気加温時に比較して約3割のコスト削減が可能です。
<図3>空気熱源HPによる薬液槽加温
出典:事例集『ものづくりに電気vol.3』 ヤマハ発動機殿 袋井南工場